最近、不要になった着物を処分しようとする高齢者や主婦を狙った「押し買い(おしかい)」の被害が増えています。押し買いとは、業者が自宅を訪問して強引に着物や貴金属などを買い取っていく悪質な行為を指します。トラブルを未然に防ぐためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
押し買いの多くは、「無料査定」や「不用品の回収」と称して突然訪問し、家に上がり込んだ後に売る予定のなかったものまで無理に買い取ろうとします。着物の価値を不当に低く評価し、「今しか売れない」などと不安をあおって契約を急がせるのも特徴です。
こうしたトラブルを防ぐために、まず重要なのは突然の訪問業者を安易に家に入れないことです。特に約束のない業者はインターホン越しに断るのが鉄則です。訪問販売には「特定商取引法」が適用されており、契約後でも8日以内ならクーリングオフが可能ですので、慌ててサインしないようにしましょう。
また、信頼できる業者を選ぶためには、口コミや実績のある会社かを事前に調べることが大切です。できれば、訪問ではなく持ち込みや宅配買取、オンライン査定を利用する方が安全です。複数の業者に見積もりを依頼し、適正な価値を判断するのも賢明な方法です。
高価な着物ほど悪質業者に狙われやすく、トラブルが起きてからでは後悔しても遅い場合があります。もし押し買いに遭遇したり不安を感じたら、消費生活センターや警察に相談することも視野に入れてください。
大切な着物を納得のいく形で手放すためにも、冷静な判断と事前の準備が何より重要です。