結論から述べると、**円安時には高級腕時計を売却した方が「得をする可能性が高い」**と言えます。これは、多くの高級時計が海外ブランド(特にスイス)の輸入品であり、為替の変動が日本国内の価格設定や中古市場の需給バランスに直接影響を及ぼすためです。
ただし、「すべての時計」が一律に高値になるわけではなく、ブランドやモデルによってその恩恵の受け方は異なります。
1. 円安が高級時計の買取価格を押し上げる仕組み
円安(日本円の価値が外国通貨に対して下がる)になると、主に以下のメカニズムで高級時計の中古買取価格が上昇します。
1.1. 新品価格の上昇(定価改定)
ロレックス、パテック フィリップ、オメガなどの海外ブランドの時計は、製造コストや国際的な取引をドルやユーロなどの外貨ベースで管理しています。円安が進行すると、日本国内で同じ時計を仕入れるために必要な円が多くなるため、メーカーや正規代理店は日本国内の定価(新品価格)を値上げせざるを得なくなります。
定価が上昇すると、中古市場の相場もそれに連動して引き上げられるのが一般的です。
1.2. 並行輸入品価格の高騰
新品価格の上昇は、並行輸入業者にとっても仕入れコストの増加を意味します。そのため、並行輸入の新品価格も高騰し、結果的に中古品に相対的な「値ごろ感」が生まれます。
1.3. 中古品への需要増加
新品の定価が高くなると、「新品は高すぎるが、多少価格が抑えられた中古品なら手が出せる」と考える消費者が増加します。この新品から中古への需要のシフトによって、中古市場が活性化し、買取店は在庫を確保するために買取価格を積極的に引き上げます。
1.4. 海外バイヤーの買い付け強化
円安は、海外のバイヤーにとって「日本の時計が安く買える」状況を意味します。日本のブランド品は、管理状態の良さや正規品としての信頼性が高いため、海外での需要が非常に高いです。円安時には、海外バイヤーによる買い付けが活発化し、これも国内の買取市場の価格を押し上げる大きな要因となります。
2. 円安の恩恵を特に受けやすいブランドとモデル
円安の追い風を最も強く受けるのは、世界的知名度が高く、供給が需要に追いついていないブランドです。
ロレックス
世界中で需要が圧倒的。デイトナ、サブマリーナーなどのスポーツモデルは、円安と定価改定の影響をダイレクトに受け、価格高騰の筆頭となる。
パテック フィリップ / オーデマ ピゲ
世界的な超高級ブランドであり、生産数が少ないため希少性が高い。円安によって定価が大幅に上がるため、中古品の価格も比例して上昇しやすい。
オメガ / ブライトリングなど
安定した人気を持つ輸入ブランドも、定価改定の影響を受け、中古価格が底上げされる傾向にある。
一方、人気が低いモデルや国内ブランドの時計の一部は、円安になっても相場に大きな変動が見られない場合もあります。
円安時の売却で得をするための注意点
円安時が一般的に「売り時」であることは確かですが、最大限に得をするためにはいくつかのポイントがあります。
為替相場の確認:円安が進む局面では価格が上昇しやすいですが、円高に反転する兆候が見られた場合は、相場が下落する前に売却を検討する必要があります。
ブランドの価格改定情報のチェック:ブランドが定価を改定した後や改定直前は、中古市場の価格が上昇する傾向にあるため、絶好の売り時となることが多いです。
複数店舗での比較(相見積もり):買取店によって、海外販路の強さや在庫状況が異なります。特に海外への輸出ルートが強い業者は、円安のメリットを価格に反映しやすいため、必ず複数の店舗で査定を受け、最も高い価格を提示した店舗を選びましょう。
結論として、海外ブランドの高級時計、特に人気モデルを所有している場合は、円安は売却を検討する上で非常に有利なタイミングであり、「得をする」可能性が高いと言えます。

